住宅ローンの長期返済はワナにもなる
こんにちは!名稲建設株式会社です。
今回は、昨年 12 月 10 日付 日本経済新聞 マネーのまなび「住宅ローン、長期返済のワナ」の記事を参考に住宅ローン長期返済のリスク、対策について紹介させていただきます。
家づくりをこれから検討されている方は、参考にして下さいね。
住宅ローンの借入期間が延びている
◇point1
住宅ローンの借入期間が延びているのは、賃金が上がらない中、ウッドショック等により物件価格が上昇し、住宅ローンの借入額が増えているのが原因です。
◇point2
住宅ローン専門金融機関のアルヒは昨年 5 月、最長借入期間を従来の 35 年から 40 年に伸ばした変動金利型の住宅ローンを投入しました。さらに、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する固定金利の「フラット 35」にも、長期優良住宅を対象に最長 50 年貸す商品があります。
◇point3
借入期間は長期化しており、住宅金融支援機構が金融機関を対象にした調査では、2019 年度の新規貸し出しの約定貸出期間は平均 27.0 年で、16 年度の 25.6 年から 1 年半程度伸びています。貸出期間が 25 年以下は 16 年度の46%から19 年度は 32%へと減少。一方で 25 年超は 54%から 68%へと増えており、長期化の傾向がわかります。
住宅金融支援機構「2020 年度住宅ローン貸出動向調査」400354669.pdf (jhf.go.jp)
その背景は…
その背景にあるのは、建築資材などの高騰で物件価格が上がり、住宅ローンの借入額が増えたことが要因にあります。
同じ金額を借りるなら、借入期間が短い方が支払利息を抑えられ、総返済額が少なくて済みます。借入期間が延びている一因は毎月の返済額を抑える為とみられます。
一般に金融機関は住宅ローンの審査で年収に対する一定の金利での年間返済額を割った「返済比率」を見ますが、35%などの上限を超えると審査が厳しくなります。
35 年ローンで希望額を貸せない場合に、毎月の返済額を抑えると返済比率が下がるため、期間を延ばし、借り入れ可能な額を増やすケースがあります。
長期返済のリスク
毎月の返済額を抑えるのは一つの解決策ですが、借入期間が長くなれば総返済額は増えることになり、日経新聞では「長いローンは老後資金を逼迫させるリスクが高まる。」と指摘しています。
退職金をあてにしている人も多いかもしれませんが、退職金の一定額以上を返済に充てるのはリスクがあります。
仮に退職金を日々の生活費に充てずに済む場合でも、固定資産税や家の修繕費、冠婚葬祭費といった「特別支出」のために手を付けずに持っておく必要があるからです。
要注意!な退職後の住宅ローンの例
1 退職後の返済比率が 50%以上
退職後は必然的に年収が減少しますので、年収に対する返済額の割合は一般に高くなります。年金を含めた年収の 50%以上が住宅ローンの返済で消えていく生活は心配です。
2 退職時のローン残高が一定額以上
定年退職金の平均的な水準は、残念ながら減少傾向にあります。厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、勤続 20 年以上 45 歳以上の大卒者の定年退職金の平均は、1997 年の 2,871 万円をピークに 2017 年には 1,788 万円と、約 1,000 万円も減少しています。せめて退職金で完済できる範囲まで、住宅ローンの残高を減らしておくことが望まれます。
3 ボーナス併用返済
毎月の返済以外に、年 2 回のボーナス月に一定額を加算して返済している場合は要注意。老後の生活にはボーナスはなく、ボーナス相当月が訪れるごとに、20~30 万円単位の返済が上乗せされたら、生活が非常に厳しくなることは明らかです。
その対策は
最悪なのは、定年を迎えた時点で住宅ローンの残債が多く、老後資金が枯渇してしまうこと。
日経新聞では「定年時にローンをいつでも完済できる手元資金を持つのが理想」であると助言しています。
あくまで理想ですが、支給される退職金は老後資金として残し、定年時の住宅ローンの残債額相当を計画的に貯蓄しておくことが必要です。
定年時に目指す金融資産の額を決めたら、現時点との差額を定年までの年数で割り、毎年必要な貯蓄額を考える。
例えば25 年間で金融資産を 2,000 万円にするには、ボーナスなどを活用して年 45 万円ずつ貯蓄し、月 2 万円ずつ積み立て投資(年 2%で運用)をするといったことが必要になります。
定年時に金融資産が残債を下回ると苦しい老後になってしまいます。
仮に住宅を売りローンを完済しても老後資金にあたる純資産が少なくなるので、「70 歳までに残債以上の金融資産を確保できないなら見通しなら繰り上げ返済などの検討が必要」と日経新聞では指摘しています。
住宅ローン、長期返済のワナ: 日本経済新聞 (nikkei.com)